僕の彼女はレンタル彼女7

僕の彼女はレンタル彼女7

舞やレンタル彼女に関する情報を引き出す為に志保を利用しているという罪悪感に苛まれ、僕は悩んだ。

僕に好意を抱いている人に対して、僕はただ利用しているだけ。利用といういう言い方をすると悪く聞こえるので、手伝ってもらっているという言い方の方が良いということがわかった。

少し脱線して、人間社会について言及する。人は一人では生きていけない。人は支えあって生きている。という言い方はとてもよく聞こえる。

だが、現実は違う。人は誰かを利用して生きている。不快に思う方がいるかもしれないが、家族だってそうで、人間は誰かが誰かを利用して生きている。

レンタル彼女だってそうである。お金を支払って、相手とデートをする。お金をもらって、デートをする。お互いメリットがあるからそういったサービスが生まれる。

そんなことはないと考える人は幻想の中で生きていれば良い。それが幸せなのであるから。

そんなことを考えながら、僕は志保を利用していることを正当化しようとした。レンタル彼女だって誰かを利用している。だから、僕が誰かを利用しようが同じことではないか。

僕は寂しい人間だった。大手のレンタル彼女のお店で働いている舞。一方僕は小さなホストクラブで働いている。彼女と釣り合うためには、ナンバーになる必要がある。そうなってはじめて、堂々と舞と一緒に肩を並べて歩くことができるかもしれない。

ナンバーに入ったら、レンタル彼女を利用して、舞を指名しよう。そう思って僕はホストという仕事にのめり込んでいったのである。

ナンバーに入るためにはまずは売上をあげなければならない。売上をあげるためには。指名をもらわないとならない。指名をもらうためにはたくさんのお客さんに会わないといけない。そうして僕は・・・

僕の彼女はレンタル彼女6

僕の彼女はレンタル彼女6

レンタル彼女のお店は世の中にたくさんある。たくさんある中で志保と舞のレンタル彼女のお店が一致することは滅多にない。レンタル彼女のお店は約100店舗存在する。その100店舗を調べれば、舞がどこのレンタル彼女のお店で働いているかわかる。面倒だが、ぼくはわくわくしながら、スマホで調べだした。

まずは、大手5店舗。この中のキャスト一覧ページに舞はいるのか。探してみるとすぐに見つけることができた。

僕はテンションが上がった。しかも、舞は他のどのキャストよりもかわいかった。さすが、僕の未来の彼女(僕の妄想笑)。僕がレンタル彼女で舞を指名したら舞はどんな顔をするかなぁ。

そんなことを考えながら、僕は毎日を過ごした。レンタル彼女、いつでも自分の好きな時にデートができるが、舞が他の男性とデートをしているところを想像すると胸が苦しくなった。

最近、そのことばかり考えるようになって、レンタル彼女とかホストとか一回離れたくなった。たまには自然に囲まれてゆっくりしたいなぁ。そんな風に思ったので、一人で旅行をしてみた。

場所は長野県のとある山。森林に囲まれ、鳥の鳴き声、透き通った景色と綺麗な空気に僕は癒された。夜は温泉旅館に泊まった。

温泉旅館の大浴場に行く際に、舞に似た女性と歩いている男性を見かけた。相手はイケメン。素敵なカップルであった。こんなに遠い場所に来ても、舞のことを考えている自分がいた。

レンタル彼女って旅行とかもできるのだろうか?

周りには何もないから、その日は普段以上に舞のことを考えてしまった。いっそのこと都会で酒を飲んでいた方がまだよかったのか。

僕は翌日新幹線で都心へと戻った。自然の空気に慣れると普段感じることのできなかった都会の空気の汚れが目立った。

僕はもっとレンタル彼女について知りたくなったので、志保に会うことにした。志保は快くオッケーをしてくれた。もちろん、舞の話はしなかった。

その日は志保が同伴してくれた。長野で買ってきたそばに感動したのか、僕と一緒にいたいと言ってくれた。僕は嬉しかったが複雑な気持ちになった。

それは舞を知るために志保を利用していたからだ。僕の心は志保にはいかない。

それは間違いなかった。

だから、志保が僕に良くしてくれればくれるほど、僕の心は苦しくなった。

彼女がレンタル彼女でなかったらきっと全く接点がなかったであろう。そう思うとやはり志保を利用している感じが否めない。

そんな日が続いて、僕の心は限界に達していた。そして・・・

僕の彼女はレンタル彼女5

僕の彼女はレンタル彼女5

クラスで一番かわいい舞に追いつくためにホストをはじめた僕。舞と同じ業種のレンタル彼女をしている志保から送り指名をもらって、彼女からレンタル彼女について聞いてみようと試みていた。

正直、志保は可愛かった。しかし、彼女はタバコと酒癖が悪いのが目立った。そんな彼女は僕がタイプだという。ホストをしていて、指名してくれるが、僕は彼女に興味はない。どうにかして、彼女からレンタル彼女について聞けないだろうか。

僕『最近、仕事は忙しい?』

志保『あれ?どうしたの?ようやく私に興味がわいたのー?』

志保はいつもの通り酔っぱらっていた。

僕『前から興味あるわ!!!笑』

志保『そんなことないよ。だってヒロくんいつも私じゃないどこか遠いところにいる人を見ているような寂しい目をするもの。』

志保は鋭かった。これが女の勘というものなのか。

僕『志保の仕事って実際すごく大変だと思うんだ。だから、その大変さをもっと理解したいんだ。』

志保『またまた~ホストさんだね。お世辞が上手なのね~』

志保は僕の心を見抜いているのか。

志保『はじめはレンタル彼女の利用客はイケメンや若い人が多いと思ったの。でも、実際、蓋を開けてみたら、若い人はほとんどこないわ。キャバクラとかに行ってしまうもの。娘と会えない離婚した年配の方や独身の方が多いのよね。それで、悩みや愚痴を聞いてると生気を吸われているような感覚になるかなぁ』

僕『相手の愚痴って確かに疲れるよね。』

志保『そうそう。だから私は仕事の話はあまりしないようにしてるの。だってヒロくん疲れちゃうでしょ!?』

僕『俺は少しでも志保の晴れた顔が見たいから、愚痴を言っても構わないよ。』

志保『嘘ばっかり。いろんな女の子にそういってるんでしょう?』

僕『まぁ否定はしないけど、志保の笑った顔は俺にとっての癒しだからね。少しでも笑わせたいんだ。すずめの涙ほどでもね。』

志保『少なすぎるわ笑いいわ。私の働いているお店のURLはこれだよー』

僕『大手なのかな?』

僕はそのレンタル彼女のサイトのキャストページをチェックした。

舞はいなかった。

その日は志保と酒を飲んで楽しんだ。僕の心は未だ空虚のままであった。

 

僕の彼女はレンタル彼女4

僕の彼女はレンタル彼女4

僕はいつものようにホストの仕事を頑張る。その中で、レンタル彼女の客がいた。彼女の名前は志保。レンタル彼女の仕事だけで生計を立てているという。

本来、ホストはお客さんの職業について聞いてはいけない。ホストに来るお客さんは仕事のことを忘れたくて訪れる人もいるからである。

でも、客から言ってきた場合は話は違う。客が仕事の愚痴をホストに言ってストレス発散でもしたいのであろう。

志保も自分からレンタル彼女をしているといってきた。自分から堂々と言えるということは、その仕事に対してプライドを持っている可能性が高い。

僕はレンタル彼女の業界について、もっともっと知りたいと思ったが、どのようにしたら志保からこの話を引き出せるのであろうか。

質問ばっかりしても、うざがられるだけだろうし。相手の話を引き出す言葉をググってみた。すると、相手の話を引き出す言葉で最適な言葉があったのを思い出した。

僕『レンタル彼女って大変じゃないですか?』

志保『そうなの!レンタル彼女はホストさんほどではないですが、1対1だからとっても気を遣って疲れちゃう!ホストでも行かなきゃやってられないわ。・・・』

志保はペラペラ話し出した。僕はしっかりとリアクションを取ってあげながら彼女を笑わせた。

志保との時間はあっと言う間だった。内勤さんに引き抜かれ別のキャストも接客をする。僕は内心、志保に指名されたいと思った。愚痴女だが、それ以上に彼女は可愛かった。

指名されれば、お礼にレンタル彼女のお客さんとして行っても良いかななんて思えるほどであった。あとは、指名されるかどうか僕は祈った。

そして、延長するかどうかの時間が訪れた。志保は帰ってしまう。最後の頼みは送り指名だ。店長から僕の名前が呼ばれ、僕は志保の送り指名を獲得することができた。

送り指名を獲得すると、その人と連絡先を交換しやすくなる。僕は志保からレンタル彼女の仕事についてもっと聞きたかったが、しつこすぎると嫌われるので、まずは信頼を得られるように努力した。

そして、・・・

僕の彼女はレンタル彼女3

僕の彼女はレンタル彼女3

クラスで一番かわいいと言われる舞がレンタル彼女をしていたという秘密を知ってしまい、劣等感を感じた僕は、友達から誘われホストを始めた。

どうしても舞に釣り合う男になるべく、接客を試みて修行を重ねる中で、スベったときの対処法を身に付けた。

スベることを恐れて何もできないよりはスベったときに尻ぬぐいができるように自分で対処できるようになって、なんでもおもしろおかしく話せるようになることが大切であることを知った。

これはレンタル彼女をしている舞は知っていることであろうか?僕はお客さんを笑わせるべく、積極的にスベって接客をした。その結果、はじめての送り指名が付いた。

相手はOLさん。僕の献身的な接客が他のホストよりも素敵だったという。

『な~んだ。送り指名か。』なんて、あなたは思うかもしれない。

確かに送り指名は指名とは異なり、新規のお客さんの帰りにお店の入り口まで見送るだけで、1円にもならないかもしれない。

だが、20~30人のイケメンたちの接客のスペシャリストの中から、選ばれるということは、自分が一番であったということであるから、女性と話すことすら苦手だった僕にとっては、大きな一歩と言える。

逆をいうと、送り指名さえもらえないのに指名客を呼べるはずもない。僕は着実に成長していった。

そして、大学での僕はというと、舞に『ひろくん最近変わった?』なんて言われるほどに。

僕は緊張しつつも舞と普通に話せるようになっていた。帰り際、舞は『今日は私仕事があるから、ここでバイバイだね。』と素敵な笑顔で僕に言う。

僕は(またレンタル彼女の仕事かな?)なんて思いながら『そっか。いつもがんばってるね!また明日ね!』と気さくな回答。

そして、僕もその日はホストのお仕事で歌舞伎町へ。

その後、衝撃的な事態が起こるということを僕はまだ知らなかった。

 

僕の彼女はレンタル彼女2

僕の彼女はレンタル彼女2

クラスで一番かわいい舞がレンタル彼女の仕事をしているという秘密を知ってしまい、より一層距離感を感じてしまった僕。少しでも舞に釣り合うような男になるべくして僕は考えた結果、ホストになろう!そう思った。

なんでホストかというと、女の子とスムーズに話せない自分が嫌いだったこと、かっこよくなる秘訣を知りたかったからである。しかも、最近ちょうど友達の大介に誘われていたのも何かの縁を感じていた。

僕はこうして新宿歌舞伎町のホストになった。今のホストは昔と違って、お酒を飲めなくてもやっていける。僕は週に1日歌舞伎町に勤務することにした。

普通ではない世界、アジア一の繁華街、欲望で溢れる世界、全てを受け入れてくれる街。そんな世界に身を投じることで、レンタル彼女をしている舞の気持ちや舞の生きている世界に少しだけ近づける気がした。

さらに、指名客をとれば、お金だってたくさん稼げる。

しかし、現実はそう甘くはなかった。ホストになっても腕が無ければ女性から指名されるわけもない。僕ははじめて新人として、新規のお客さんの席について接客を試みた・・・

もちろん、大敗。お客さんを掴むなんて夢のまた夢。僕は女の子とまともに話すことすらできなかった。お客さんは、お金を払ってきているのに、『ありえない』というようなリアクションでより一層自信を無くしてしまった。接客業がこんなにも難しいのかと思わされた瞬間であった。レンタル彼女をしている舞はどれだけ先のレベルに到達しているのだろう?

僕は凹んだ。お客さんを掴んでいるホストはトークが上手であったり、顔がずば抜けてかっこよかったり、かわいかったり。

僕は何を武器にすればよいのであろう。顔は極極普通。なら、トークを伸ばすしかない。トークを武器にしているホストを徹底的に研究した。

話すうえで、相手の心をつかむ心理学やお笑いも徹底的に研究した。そうすると、ある一定の共通項が見つかった。

それはまさに、『相手に対する尊厳』であった。僕が人見知りであったり、緊張してしまうのはなぜかというと、『自分が見られている、恥ずかしい。』といった、いわゆる、自意識過剰。これだと人の心はつかめない。自意識過剰だと、『人に良く見られたい』という自分の欲求が先行してしまうからである。

大事なのは、『相手に対する尊厳』で相手に楽しんでもらおうと努力することや相手に笑ってもらおうと努力すること。そう意識を変えるように努力をした。

『せっかくお店に来てもらったのであるから相手に笑ってもらおう』と意識して、一発芸やツッコミやボケを連発する。もちろん、スベる。

スベったら・・・続く。

 

僕の彼女はレンタル彼女

僕の彼女はレンタル彼女

僕の名前は木下ひろゆき(仮名)は大学2年生。都内の普通のレベルの大学に通う普通の大学生。退屈な授業に真面目に出席し、まあまあな成績を取得する。こんな極極普通の生活をしている僕ではあるが、他の人とは少し変わった彼女がいる。彼女はレンタル彼女である。レンタル彼女と聞いて混乱してしまう方がいるかもしれない。

レンタル彼女とは彼女をレンタルできるサービスで、飲み屋などの夜のお店では得ることのできない新鮮さやときめきが得られるサービスです。時間分の料金さえ支払えば、素敵な彼女とデートをすることができるというものだからこれは利用するしかない。

僕の彼女はレンタル彼女であるが、僕が勝手にレンタル彼女に惚れてしまっていると思っているかもしれない。確かに、1年前までは2次元が僕の彼女だったので、知り合いに言うと嘘だと言われる。『木下くんに3次元の彼女ができるはずない、こいつ女の子とろくにしゃべれもしないんだぜ。』と侮辱され続けて生きてきた僕に3次元の彼女ができるはずがない。

そうだこれは夢だ。僕に彼女なんか・・・

目が覚めるとそこには、肌が白く素敵な笑顔の舞が話しかけてきた。

『ひーろくん(^^)/』と気さくに話しかけてくる女の子。僕はこのテンションについていくのにいっぱいいっぱいだ。

彼女『今日も一緒に帰ろー』

僕『・・・い、いいよ・・・』。

彼女はクラスで一番かわいい舞。なぜ僕なんかにこんな気さくに話してくるのだろう?僕はいつも疑問に思う。友達に相談すると、『お前が退屈な授業に出席して、真面目にノートをとってるからだろう?』。ってノート目的か。

舞のお願いは拒否することができない。彼女はとてもかわいいから、彼女と話せるだけで僕は幸せを感じていた。そんな彼女にも秘密があった。

ある日、渋谷を歩いていると、舞がおじさんと手を繋いで歩いているのを目撃した。僕は、相当ショックを受けたが、興味があったので尾行してみた。すると、おじさんが「また指名するね!」という声が聞こえた。(舞は何をやっているのだろう?)。そうこう考えているうちに、舞が僕に気付いた。というより、彼女は僕の存在に気付いていたらしい。

舞『ひろくん、尾行する趣味があったの?』

僕『い、いや、偶然渋谷歩いてたら、舞を見つけてそれで気になって・・・』

舞『みんなには内緒ね!私レンタル彼女っていうお仕事をしてるの。』

僕『レンタル・・・彼女・・・?』

舞『恋人派遣サービスだよー。寂しがり屋のおじさんとデートをするんだー。もちろん性的なサービスは無しで。見方変わった?』

僕『いや、そんなことないよ。舞は可愛いから、そういうのを武器に仕事するのは効率がいいし!普通は、悪く言う人が多いかもしれないけど。僕は良いと思う。普通じゃないくらいが人って良いと思うんだ。』

舞『可愛いだなんて。ひろくんからそんな言葉を言われると思ってもみなかった。』

2人は赤面した。僕は嫉妬というより、興味やなんでレンタル彼女の仕事をしているのか、レンタル彼女とは何か興味がわいた。もしかして、僕は普通の大学生といっても変わってるのかもしれない。そもそも普通すぎる人って存在しないんじゃないか?そう思うと少し安心した。

帰り道、夕日に照らされてキラキラしている彼女はなんだか、遠い存在に感じた。僕はコミュニケーションをとるのも下手だし、年上の人とあんなにスムーズに会話ができる舞が大人に感じた。彼女の彼氏になれたらいいなぁなんて思っても、バランスの取れないカップルになるのは嫌だった。どうしたら、彼女と釣り合えるようになるのであろうか?僕は必死に考えた。考えた結果・・・

 

この小説はフィクションです。