僕の彼女はレンタル彼女14

僕の彼女はレンタル彼女14

僕が偶然入ったBarのマスターは40代の落ち着いた感じで、僕の悩みを聞いてくれた。マスターはただただ話を聞いてくれた。レンタル彼女についても利用したことがあるそうだ。マスターは彼女をつくらない。理由は、責任という制限があるからである。自分のお店を出すということは、リスクを背負って出ることになって、自分が好きになる女性を巻き込みたくないという気持ちだそうだ。

確かに、自分のやりたいことがあって、それに付き合ってもらうのは申し訳ない気持ちになるかもしれない。また、やりたいことに制限がかかってしまうと、自分のやりたいことができなくなるから、結局、後悔することになる。

舞の場合、レンタル彼女をやりたいという気持ちが本当だとすると、僕がレンタル彼女の仕事についてあーだこーだ言うと良い気分はしないだろう。でも、レンタル彼女という職業がホストクラブに通うきっかけになったのであれば、あまりレンタル彼女の仕事をさせたくない。

ただ、今、舞にレンタル彼女の仕事をやめさせたところで、ホストの楽しみを知ってしまった舞に効果があるのだろうか?そもそもホストに通うことを否定している僕は正しいのか?

悩んだ結果、僕は一つの結論に至る。

舞のことが好きなら、話したうえで許そう。

こうして、僕は舞に正直に話すことにした。これでもし関係が崩れることになるのであれば、いずれにせよ、長続きはしないであろう。

僕の彼女はレンタル彼女13

僕の彼女はレンタル彼女13

2週間経過後、終電に間に合わせるため歌舞伎町の街を駆け抜ける。その途中に舞の姿を目にした。その隣には、ホスト。

舞はホストにはまっているのか?ホストがレンタル彼女にはまっているのか?それとも営業なのか?僕は気になって後をつけた。

すると、舞はホストクラブに入っていった。となりの男はその店のナンバーに入っている。ナンバーとは売上金額が上位のキャストでお店ごとに基準がある。

舞はホストクラブにはまっていたのだ。

僕は舞に対して不信感を抱いた。レンタル彼女で稼いだお金はすべてホストクラブにつかっているのであろうか?

僕は真剣に悩みだした。もちろん、自分で稼いだお金の使い道であるから自由ではあるが。

翌日は変装をしてそのお店を張り込むことにした。すると、案の定、舞がお店から出てきた。そのまま、カラオケボックスに一人で入っていった。その1時間後、例のホストと舞がカラオケボックスの前で落ち合っているのを目撃し、そのままホテルに入っていった。

僕はショックを受けた。舞に対するイメージがガラッと変わった。僕の憧れた舞は

もう・・・いない。

舞と付き合って、いつも以上に悩みが増えた。お互い仕事が忙しく、デートは学校帰りのちょっとした時間。

舞はどこか別の何かをいつも見ているようだった。僕は舞をホストクラブから解放させてあげるべきか。それともそれは僕の価値観であって、舞にとっては普通なのか?だとしたら、価値観が違い過ぎる。

僕の心は限界に達していた。舞はなんで僕と付き合ってくれたのだろう?

そんな悩みを持ちながら、僕はバーへ行った。そこのマスターに僕は救われることとなる。

続く

僕の彼女はレンタル彼女12

僕の彼女はレンタル彼女12

僕がホストをしている理由は自分のコンプレックスを克服し、レンタル彼女の仕事をしている舞に釣り合う男になるためであった。

舞と付き合えた僕は、もう、舞と釣り合う男に近づけたのではないであろうか?と思い、ホストをやめることを僕は舞に相談することにした。内心僕がやめることで舞がレンタル彼女の仕事をやめることを期待していた。

僕「実はホストをやめようと思うんだけど、舞はどう思う?」

舞「え~やめちゃうの~。でも、ヒロ君が別の女の子と話している姿を想像するのは嫉妬しちゃうけど、余計に燃えるよね!私も頑張ろうって!」

僕「そか。でもね、ホストは舞に釣り合いたい一心ではじめたから、今となっては必要ないんだ。」

舞「そうなんだ。」

僕「舞はいつまでレンタル彼女を続ける予定なの?」

舞「学生の間だけだよ。」

僕「そか。俺も嫉妬してるからねー。今は良い気分なんだ。」

舞「普通は嫉妬するよね!ヒロ君はレンタル彼女の仕事やめてほしい?ヒロ君が言うなら・・・」

僕「いやいや、僕は好きなことをしている舞が一番好きなんだ」

舞「え~じゃあ好きなことをしていない私は嫌いなの?」

僕「そういう意味じゃないよー。何をしていても舞のことは好きだけど、生き生きしている姿を見ると、なんか、幸せな気分になるんだ。もちろん嫉妬はするけど。」

舞「・・・」

僕「えっーっと。何この沈黙(笑)」

舞「だって、ヒロ君草食系男子だと思ってたけど、ヒロ君からこんなに熱くストレートな言葉をかけてもらえるなんて思ってなかったから。ロールキャベツ男子だね!」

僕「そうかな・・・」

舞の気持ちを再確認して、ほっとした気持ちになった。僕は1か月後ホストをやめることになるのだが、このあと、僕は舞を歌舞伎町で見かけることとなる。それが、全ての地獄へのはじまりだったのだ。

僕の彼女はレンタル彼女11

好きな分だけ不安も大きくなる。恋は一種の麻薬というか、依存性がある気がしてならない。僕は大人の恋愛について考えた。

大人は自立していて、自分のなすべきことを心得ている。ただ、暇な毎日を何も考えずに生きていくよりも、一定の目標をもってその目標を達成するために行動する方が人生が何倍も楽しさや希望に満ちていることを知っている。

恋愛に関してもそうだ。ただ、一緒にいたい。ただ、笑っている顔が見たい。ただ、一緒にいたら楽しい。そういうことだけで生きていくのももちろん良いとは思うけれど、結局は自立して、目標を持って生きた方が何倍も良い人生という気がする。

僕は暇すぎた。暇すぎて舞のことばかり考えていた。舞のことを考えるほど余裕がないくらい仕事や勉強に熱中できる環境をつくらないといけないと思った。

あくまで、舞はレンタル彼女を仕事としてメリハリをもって取り組んでいる。だから、僕も仕事としてホストの仕事をこなし、目標に向かって歩んでいきたい。

って僕の目標ってなんだ?

舞はレンタル彼女の仕事をして何を得たいんだ?お金?男?

僕は舞に釣り合う男になるためにと思っていたが、今付き合っていることを考えるともうやる理由はないのではないか?

今度舞に聞いてみよう。

恋って大変だ。僕はそう思った。

僕の彼女はレンタル彼女10

僕の彼女はレンタル彼女10

なんて朝の空気がすがすがしく、気持ちの良い、希望に満ちた日光なんだろう。舞と付き合って1週間。僕の心は満ちていた。

いつも起きると、舞と付き合っているということが夢なのではないかと思ってしまう。人間は幸せな分だけ、不安も不思議なことに増えてしまいます。

僕は舞と釣り合っているのであろうか?レンタル彼女の仕事のお客さんとうまくやっているのであろうか?浮気はしていないだろうか?

考え出したらキリがない。僕の彼女はレンタル彼女であるから。

舞ももしかしたら、同じようなことを考えているのだろうか?

僕はそんなことを考えながら学校へ向かった。学校では舞はクラスの人気者。いろいろな男子から声を掛けられる。そのたびに僕は嫉妬する。

舞は僕を気遣ってなのか、僕に寄ってきて常に隣にいるようにしていた。その様子を見た男子からは「まじかよーヒロかぁ。最近あいつ変わったからなー」と皮肉にも捉えられるような内容。

確かに、僕はホストをやって変わった。だが、最近の成長する以前は全く適わないということをはっきり言われているようで、言っている人の品格を疑うものであった。

それは僕も認める事実かもしれないが、口に出して言うことは失礼である。

でも、もし、こいつらに舞がレンタル彼女の仕事をしていることがばれたら、舞とデートをされてしまう。そんな不安が僕にはあった。

レンタル彼女の仕事とはいえ、印象が良くない男に自分の彼女とデートをしている姿を想像するのは苦痛だった。

好きな分だけ、苦痛が僕を襲ったのであった。

僕の彼女はレンタル彼女9

僕の彼女はレンタル彼女はレンタル彼女9

その事件が発生した週末に僕は舞とはじめてカフェでゆっくりすることになった。

おいしいパンケーキを食べに行くという名目で。そのパンケーキのお店は舞がレンタル彼女の仕事でお客さんに連れて行ってもらった場所で、僕はお客さんと舞がこのお店に来ていた姿を想像してモヤモヤした。

モヤモヤするのはおかしいと頭ではわかってはいる。レンタル彼女の仕事はデートをすることであるから、デートをするのは当たり前だ。

僕「レンタル彼女の仕事は順調そうだね」

舞「いえいえ、ヒロ君ほどじゃないよ。」

僕「舞はどこで働いているの?サイトに載っている写真を見てみたい。」

僕は既に舞の載っているサイトを知っていたが、敢えて隠した。

舞「恥ずかしいよ笑」

舞のリアクションにきゅんとしながら、ホストで培ったコミュニケーション能力により会話がスムーズに進んでいく。

舞「ヒロ君って本当に変わったよね!?」

僕「どうかわったの?良くなった?」

舞「うん。良くなった!前のヒロ君も良かったけど。すごく話しやすくなったよー」

僕は嬉しかった。ただただ嬉しかった。

今日、僕はタイミングを見計らって舞に告白しようと心に決めた。

舞「でも、ホストっていろんな女の子と会うのがちょっとモヤモヤしちゃうかなーなんて笑」

僕は来たと思った、舞は僕に気があるに違いない。

僕「僕だって、モヤモヤするよ」

2人は赤面した。僕はここで舞に告白することになる。

僕「本当はカフェで言うのはなんだけど、前から舞は可愛くて、こんな普通の僕に声をかけてくれて、器用で、僕に成長の機会を与えてくれて、すごく好きでした。いや、今も好きです。舞が良かったなんだけど、付き合ってください!」

僕の心臓は張り裂けそうなくらいドキドキした。

舞「待って。すごく嬉しい。今のレンタル彼女の仕事を天職だと思っているから学生の間はこの仕事を続けていこうと思うの。それでもよかったらお願いします。」

 

今日は人生で最高の日になった。

僕「もちろん!!お互い頑張ろう!人生で一番うれしい瞬間だよ!レンタル彼女の仕事を頑張っている舞も好きだよ。」

 

こうして、僕の彼女はレンタル彼女が妄想から現実となった。

 

だが、後々、この選択が僕を苦しめることになろうとは、まだこのときは知らなかった。

 

 

 

この物語はフィクションです。

 

 

僕の彼女はレンタル彼女8

僕の彼女はレンタル彼女8

レンタル彼女をしている舞に釣り合う男になるために、ホストクラブでNo.1を目指す僕。たくさんのお客さんに会って、たくさんの指名客につなげるためにフルで出勤をすることとなった。

今まで週に1日だけだったが、週に6日働くこととなる。新しいお客さんの中にはレンタル彼女の仕事をしている人もいた。

レンタル彼女をしている志保はめずらしいものだと思っていたがそうではない。レンタル彼女は新しい時代の職業として認識されはじめていたのを肌で感じた。

しかし、週に6日働くことによって、後日、衝撃の事態が起こることになった。

その日は雪が降っていて、電車が遅延した。僕は遅刻の連絡をお店にして、遅れて向かった。そこで、見たもの。

それは、舞とおじさんが客として来店していたのであった。舞にボディタッチをするおじさん。どうやら服装や外見から見るに相当お金を持っていそうである。

僕は動揺した。

いくら舞がレンタル彼女をしていることを許していたとしても、実際に目の前でおじさんに触れられている姿を見ると、動揺せざる負えない。

僕はどうしても新規でその卓につきたくなかった。

だが、その時は来てしまった。もう開き直るしかない!!!

僕「失礼しま~す!!!ご一緒してもよろしいでしょうか!?」

いつもと違うテンションに一瞬たじろきを見せるが、さすが人気のあるレンタル彼女すぐに融通をきかせた対応を見せた。

舞「どうぞ(^^)はじめましてー」

僕「ヒロトと申しますー。」と言いながら名刺をおじさんと舞に渡す。

お酒を注ぎながら、僕はおじさんを褒めたたえた。舞もそれに乗っかった。

そして、僕はおじさんから指名を頂いた。今までで一番うれしくない指名であった。

その日は飲み過ぎた舞を介抱しながらおじさんと舞はお店を去った。なんかモヤモヤした。

翌日の学校で、舞から「ヒロ君、あとでお話ししたいなぁ。」と誘いを受ける。

人気レンタル彼女と駆け出しホストの駆け引きが始まった。

舞「ヒロ君、最近変わったと思ったら、ホストやってたんだぁ。」

僕「なんのことだい?」

泥酔した舞の勘違いにできないか、試みてみた。

舞「あ、ずっるーい。そうやって私だけ弱み握られてるなんて。昨日一緒に飲んだじゃん!」

僕「ん?ホスト行ってきたの?」

舞「えっ?嘘!別人!?お店のサイト調べればわかるんだから!」

僕「それをされたらお手上げだ笑」

舞「なんでホスト始めたの?」

僕「追いつきたくて。」

舞「ん?」

僕「舞に追いつきたくて!舞はクラスで一番かわいいし、みんなから好かれているうえ、レンタル彼女っている仕事でも活躍してて、一方、僕は極普通の学生。どうにかして舞に追いつきたくて。でも普通にしてたら自分が変わらないから。」

舞「嬉しい!ヒロ君がそんな風に思っていてくれてたなんて。私の家庭は普通じゃないから、普通であることが素晴らしいし、ヒロ君は普通以上に色々頑張っていて尊敬してるよ。」

このとき僕は嬉しかったが、半分、お世辞に聞こえた。これは職業病だろうか。

僕「ありがとう!今後、学校終わってゆっくりカフェとかでしゃべりたいね(^^)」

 

レンタル彼女について、もっともっと舞に聞きたいことがあったが、その日はお互い別れて、各々の仕事場へ向かった。